2012-07-30

ナイーヴな寿司屋



寿司屋にいった。

横浜の中央市場の場内にある店なのでネタはもちろんいいけれども、店構えは瀟洒からは程遠い感じ。言葉を変えればいい感じの店。

その店の中に「アレルギーのある人はお申し出ください」というような手書きの表示があった。久しぶりに顔を出したので詳しくは覚えていないけど以前はなかった表示だと思う。こういう店までディスクレーマーを出さなきゃいけなくなったのかと驚く。

Podcastを聴く。スポンサーのインフォマーシャルで豆乳の宣伝をしている。ひと通りの宣伝が終わったあと「豆乳は大豆から作られていて乳製品は含まれておりません」「大豆アレルギーの人はお飲みにならないでください」というようなディスクレーマーが入る。

アホか。

アレルギーが恐ろしいものであるという認識はある。だから学校給食で「好き嫌いをせず残さず食べましょう」ということを画一的にいうことの危険性はわかっている。

でも今の日本人は自分に大豆アレルギーがあるのに言われないと間違って豆乳を飲んでしまうほどアホなのか?

ほとんどが生の魚貝そのものの寿司屋で自分にアレルギーがあるものを教わらないと峻別できない程スットコドッコイなのか?

もちろんほとんどの日本人はそんなにアホでもスットコドッコイでもないはず。

でもクレーマーに対する過剰反応がこういう事態を招く。それは過剰反応という名の事なかれ主義。事前にクレーマーにいちゃもんを付けられないようにすることをリスクマネジメントだと考える愚。

先述のPodcastの番組でたまたま「放送局はナイーヴだから、極端な意見でもクレームには過剰に反応するんですよ」というようなことを言っていた。

これにも思い当たることがある。
ある番組の番宣で番組メルマガを紹介するとき「その日のテーマは毎日8時頃メールします。気の早いスタッフの場合はもう少し早めに送ることがあります」というアナウンスが入る。

この後半が本当に気持ち悪い。というか胸クソ悪い。
遅くなる可能性があることをあらかじめ断っておくならまだしも、早くなるかも知れないことまでも言わなきゃいけないなんてバカげてる。

そりゃ中には早くメールを送ると「8時頃じゃないじゃないか!」と文句を言ってくるバカげた輩もいるでしょうよ。でもそんなの相手にしてどうするの。

ま、これは放送局がナイーヴだからじゃなくて、スポンサーにケチがつくのを面倒臭がっているからなんだろうけど、それはさておきここでは「ナイーヴ」という言葉に注目。

ここで使われているナイーヴという言葉は日本語の意味でのナイーヴ。繊細で傷つきやすいという感じかしら。

でも英語の本来のNaiveの意味はいうなれば、すれてないというか経験の乏しい純朴バカというイメージ。

念のために辞書を引いてみると
 1.without experience of social rules or behaviour, esp. because one is young.
 2. too willing to believe without proof.

とあり、繊細な文学青年というようなニュアンスはない。

じゃあなぜナイーヴにわけのわからない日本語的ニュアンスがついてしまったのか。
この勘違いは昔の放送局から広まったに違いない。

黎明期の放送局でクレームの電話を受けた新人の子がクレームの内容をアメリカ帰りのプロデューサーに伝えにいくと、
「なにいちいち真に受けてんだ、放っておけ。そんなのをいちいち相手にしている程naiveだと社会やっていけねぇぞ」
とどやされる。

「お客様は神様」と教えられて育った商家の息子だった彼にはクレーマーという発想がなく、さらには"ない〜ゔ"の意味もわからず歳の近い先輩に聞いてみる。
先輩ももちろん意味はわからないけど後輩の手前そうとは言えず、文脈にもなんとなく合致し、その上後輩を傷つけないで済むことから「繊細で傷つきやすいって意味だよ」とテキトーに教える。

教わった後輩は実は遊び人で女の子と飲みに行くたびに、
「僕にはナイーブなところがあるから」と本来の意味からすると赤面したくなるようなことを太宰気取りでいって広めていった。

これに違いない。

ってそんなのどうでもいいから、ディスクレーマーだらけの日本社会、本当にどうにかならないのかね。

what's "my wife's camera"?

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