2011-01-14

アメリカが銃規制しない意味がわからない。




アリゾナのショッピングモールでの銃の乱射事件、下院議員も巻き込まれた
こともあり、アメリカでは相当大きなニュースになっています。

日本人の感覚だと「こんなにたくさんの銃の乱射事件があるのに、なんで
もっと銃を規制しないんだ」と思いますよね。

それに対してジャーナリストの神保哲生さんが「ニュース探求ラジオDig」の
中で二つの観点から解説していました。

一つは崇高な理念の点から。

これはアメリカ合衆国憲法の修正第二条を引き合いに出すものです。
修正第二条は国民に民兵を組織する権利を認めるものです。

アメリカ人の多くは歴史的に統治権力としての連邦政府を信じていません。
この辺りのことを話し出すと長くなるのでまた機会があれば別途書きますが、
とにかく少なからぬアメリカ人は連邦政府に対して

「便宜上、仕方がないから統治させるけど、あんたたちの正当性は俺たち
 国民が依託してるからあるってことを忘れるなよ」

と思っているわけです。裏を返せば政府が統治を委託するのに値しなければ
それをひっくり返すのは当然と思っているわけです。

そしてその権利は保証されなければならず、そのためには時と場合に
よっては民兵を組織して政府と対峙する権利さえ保証されなければいけない
という考えに基づくのが修正第二条です。

つまり銃を規制するということは、国民から政府を管理する権利を取り
上げるに等しいと考える人がいるんですね。

共和党の大きな支持母体となっているNRA(全米ライフル協会)は恐らく
こういう立場にたっているのでしょう。

「しかし」と神保さんは続けます。

まあ、こういう崇高な大義名分とは別にアメリカの銃規制のリアリティーは
「泥棒やギャングがすでにたくさん銃を持っているのに、善良な市民の
 銃保有が規制されたらやられ放題じゃないか!」

というもので、そういう現実があるからいつまでたっても銃規制をすることが
できない、ということでした。

昨日Podcastでこのことを聞いたとき「そんなにアメリカ人も単純じゃないだろう」
と思いました。

ところが今日Bloombergの「Businessweek.com」のPodcastを聴いて驚きました。
なんとアリゾナの銃乱射事件が起きた直後、アリゾナ州での銃の販売が
60%伸び、全米でも5%の売上増になったということでした。

それはまさに神保さんの発言を裏付けするものです。
ちょっとショックでした。最悪の負の連鎖です。

大分前に聞いた統計で出自も不明のぼんやりした情報で申し訳ないのですが、
アメリカの銃犯罪の被害者の8割以上が銃保有者だということを聞いたことが
ありました。アメリカの世帯銃保有率が4割弱ということを考えると統計的には
銃を持たないことの合理性は明白だとも思えます。

もう少ししっかりした統計から引くと、全米で銃保有率のトップの州と最も低い
州の殺人率は60%もの差があるのです(もっとも、これは卵か鶏かという議論に
なりえますが)。

日本人の感覚から考えると「銃の保有を許す方がおかしい」となりますよね。

でも実はこれはかなり難しい問題です。これを「銃」ではなく「核」に置き換えて
考えてみると日本人にもわかりやすいでしょう。

誰もが「核廃絶した平和な世界」という大命題には賛成するかも知れません。
でも実際に核兵力を削減しようとしたらこれは相当難しい問題だというのはわかる
のではないでしょうか。

少しずつ削減しようにも各国が平等だと納得できる「少しずつ」なんて簡単に
実現できるわけはありません。

じゃあ一気にと思っても「うちが核を廃絶してもしどこか他の国が隠し持っていたら
どうするんだ」と考えるのは人の常。

この辺りのメンタリティーは核を持たない日本人でも理解しやすいでしょう。
とても難しい問題です。

そしてその難しいことに挑戦し続けてきたのが他ならぬ日本です。憲法第9条という
形をもって。

これは壮大な実験でしたけれども、残念ながら誰も武器や核はおろか、銃さえも
手放そうとはしないというのが現状です。

その中、今日本は数十年前と比べると明らかに防衛力を高めることに世論が
傾いてきています。

私としてはそのトレンドを「軍国的」と一方的に糾弾するつもりはありません。
むしろ個人的には日本の安全保障は根本的に見直されなければならないとも
思っています。

それを考えるとアメリカが銃規制を簡単にはできない現状も他人事ではありません。

どうやったら世界から無駄な血が流されずにすむのでしょうか。
私たちが取り組まなければいけない課題はとてつもなく大きいです。


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