2010-12-16

伊勢谷友介のインタビューを聞いて。



小さい頃、なんで政治家という人種がそんなにエライ/エラそうなのかがわからなかった。

「日本を動かしているからエラいのよ」母親はいった。ふーん、幼かった私は答えた。

 少し経って勉強するようになって政治家とは法律を決める人だということを知った。ますますなんでエライのかわからなくなった。弁護士は法律で戦う人でお金をたくさんもらうということは何となくと理解できた。法律という専門の武器を持って戦う人には特別の報酬が払われるということには合点がいった。

でもなんで法律を作る人があんなにエラそうなの?

誰も教えてくれなかった。

でももし今の私がタイムマシーンに乗って少年の日の私に出会えるのなら、ひょっとしたら説明ができるかも知れない。

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「たろう君は野球が好きだよね?もし野球がスリーアウトで交代じゃなくてファイブアウト、つまり5回アウト取らないと交代できなかったらどうなると思う?」

「そんなのヘンだよ。野球はスリーアウトで交代だよ」

「うん、そうだよね。でももしファイブアウトまで交代できないとしたら、どうなるかなあ」

「うーん、いつまで経っても攻撃が終わらなくて、守ってる人はいやんになっちゃうよ」

「そうだよね。攻撃がいつまでも続いて点がいっぱい入っちゃうよね」

「ピッチャーも疲れちゃう」

「でもたろう君バッターでしょ?ピッチャーが疲れた方が打てるんじゃない」

「うーん、でもやっぱりなんかおかしい気がする」

「でもお客さんの中にはホームランを観たい人がたくさんいるでしょう。それだったらピッチャーが疲れた方がいいじゃない」

「ぼくもホームラン打ちたい」

「ほら、やっぱりファイブアウトの方がいいんじゃない?」

「うーん。。。」

「たろう君」

「なに?」

「野球でスリーアウトで交代かファイブアウトで交代か、ルールがどちらかになるかってかなり大きな問題だよね」

「うん」

「実はね、ぼくたちの社会にとっての『法律』って野球にとっての『ルール』と同じなんだ。

 世の中にはみんながよりよく暮らせるようにたくさんの法律がある。でも時にはその法律も変えなきゃいけないことがあるんだ。たとえば野球でピッチャーが両方のチームに一人ずつしかいなかったらスリーアウトだと大変すぎるってこともありうる。だったらツーアウトで交代っていう風にルールを変えないと試合が却ってつまらなくなってしまうかも知れないということがあるのと同じように、世の中の変化と一緒に法律も変えなきゃいけないんだ。

 そしてその法律を作るのが政治家なんだよね。だから、ものすごく影響力がある。もしたろう君がピッチャーで交代がファイブアウトになるかツーアウトになるかだったら全然違うよね?そのルールを決める人に「スリーアウトのままでいいじゃん。もしどうしても変えなきゃいけないならツーアウトにしてくださいよ」ってお願いしたくなるよね。

 お願いする方とお願いされる方だとどうしてもお願いされる方がエラそうになってくる。
 『お願いしますよ』ってへえこらしてくる人がたくさんいるから政治家はどうしてもエラそうになっちゃうんだよね」

***

少年たろう君は納得してくれるだろうか。

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立法に携わる政治家という職業は立派なものだと思います。
だから私たちも責任を持って選出しなければいけないでしょう。

でも、彼らが作るのは所詮ルールだけです。

ボールを投げるのも、打つのも私たち国民です。
政治家に「オフサイド」というルールを決めることはできても、パスを回すこともシュートを打つこともできません。

日本の政治は確かに混迷しています。明確なビジョンを打ち出して立ち直してもらわなければ日本はますますひどいことになるかも知れません。

でも忘れてはいけないのは、彼らにできるのは所詮ルールを作ることだけです。そのルールで足を引っ張られたりすることもあるかも知れませんが、少なくともボールを投げ、打ち、シュートを放ち、タックルをし、フィールドを駆け抜けるのは我々国民だということだけは忘れてはいけないでしょう。

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東京FMの番組での伊勢谷友介さんのインタビューを聞きながら、ふとそんなことを考えたのでした。


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