2010-10-01

文体練習。



ミリタリーファッション

今年はミリタリールックが流行ってるらしいですね。といっても私がファッションについてなにか語るということはもちろんできません。でもちょっと気になることがあります。

ファッションというのは一種のモードの表出であるわけです。そして多くの場合モードというのは既存の価値観に対するカウンターなんです。つまりある分野の先端をいく人々から現状(status quo)に対する提案ですね。

それを踏まえた上でトレンドとしてのミリタリーファッションというものをちょっと考えてみたいと思います。
まあミリタリーファッションというのは強烈な記号というかメッセージ性のあるものですよね。それを何も考えないでトップメゾンのデザイナーが引用するということは考えらるのはむしろ不自然です。つまりそこには何らかの意味があるということです。かといって今の時代彼らが戦争礼賛に走っているとも思えませんよね。むしろモードの世界は反戦ムードですから。

じゃあ一体どういうことなんでしょうね。ちょっと考えてみましょうか。
なんでも今回のミリタリーブームというのは19世紀の軍服をソフトに進化させたものだということです。つまり20世紀はなかったことにしている。ということはそれは資本主義の時代であった20世紀を全否定した考え方だと考えることもできますよね。

じゃあ19世紀はどういう時代だったでしょうか。18世紀末にはフランス革命もアメリカ独立革命も起きてますから市民革命を通過しています。と同時にスターリンがまだ登場していないですから社会主義にも希望があった時代でもあります。言い換えれば民主主義の未来が明るかった時代だったともいえますね。

それでは軍服という記号についてはどう考えればいいんでしょうか。当然軍服といえば軍隊の征服ですが、軍隊が象徴するものは色々あります。戦争ということもあるかも知れませんし、ナショナリズムということかも知れません。しかし同時に規律とか秩序の象徴とも考えられますね。

これらのことから考えてみると今おきているミリタリーファッションブームは、「もう一度、規律をもって新しい民主主義を築き直すべき時代が来ている」というメッセージだと考えることもできますよね。

こういう風にモードを小難しく考えることもできます。でも同時にモードというものは消費されるものでもあるわけですから、いちいち「このファッションの意味するところは」なんてしち面倒くさいことを考えずに着たいものを着ればいいと思うんです。基本的には。

ただもやっぱりミリタリーファッションを着るとなったら少しくらいは気を使った方がいいとは思うんです。今この瞬間も世界中のさまざまなところで戦争はリアルにおきてますよね。その中で「今年はミリタリーがトレンドなんだってぇ」と無自覚、無批判にミリタリーファッションに興じるのはやはりいくらなんでも鈍感すぎるんじゃないかと思うわけです。

世界の人にとって軍隊とか戦争って日本人が考えるよりも遥かに身近です。そして身近ということはそれらに対して具体的なイメージがもたれているということです。国のために戦う若者として敬意を示す人もいるかもしれませんし、近親者を戦争で亡くして軍隊を憎悪している人もいるかも知れません。いずれにせよミリタリーファッションを見た受け手がなんらかの意味をそこに見て取るという可能性が強いということを理解することは大切です。

日本は幸い長年平和を享受してきました。そのことは幸せなことですし誇るべきだとも思います。でも同時にやはりどこか平和ボケしてしまってるんですよね。

繰り返しになっちゃうんですけど基本的にはファッションなんて好きなように楽しめばいいと思っています。
でもミリタリーファッションをまとうということは無意識のうちに強烈なメッセージを他人に与えてしまうということはわかっていた方がいいとは思うんです。そのメッセージはたとえば「正社員はみんな火炙りの刑!!」とか「外国人はいますぐ日本から出て行け!!」とか書いてあるTシャツを着ているのと同じくらい強いメッセージを発している人なんだ、と他人に思われてしまうことさえ自覚していればいいとは思うんですけどね。

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