2010-08-22

そろそろ理解して頂けませんか、経済はゼロサムじゃありません。



「競争などの勝敗によらない幸福を希求できる社会をめざそう」という人がいる。
そうね、そういう幸せもいいかもね。私は心から思う。

そういうことをいう人は大体決まって善人だ。だから私は彼らの意見に真摯に耳を傾けようとする。でも少なからぬ場合失望させられる。

彼らの多くは「資本主義社会」を悪、もしくはそれに近いものと考えている。「資本主義社会」=「競争社会」=「勝者と敗者の創出社会」という風に考えるのだろう。そして言う。

「勝者が生まれるということは必ず敗者も生まれる。敗者がかならず生まれるような社会の仕組みは変えませんか?」
と。
そこで私はそれ以上彼らの意見に耳を傾ける気が失せてしまう。彼らの意見が漠とした感情論の外を出ないということがわかるからだ。

先にも述べたように上記のようなことをいう人は大抵善人だ。だから社会で苦しんでいる人がいることに悲しみと憤りを感じているのだろう。その心やよし。そしてそれは資本主義に大きく起因すると思っているのだろう。その仮説まではよし。でもそこで短絡的に「必ず敗者が生まれる資本主義を再考しませんか」というような人は恐らく薄っぺらなメディアにでている「資本主義」「勝ち組、負け組み」などという言葉に踊らされ、経済について真剣に考えたことがない人だ。

資本主義というのが経済上の仕組みである限り、資本主義を批判しながら経済を理解しようとしないのは笑止だ。彼らに仕組みを変えられはしない。

まずは彼らの致命的な間違いから正したい。

「経済はゼロサムゲームじゃない」

経済活動とはひとつのパイを奪い合う活動ではないのだ。
理論的には全員が勝者になることも可能なのだ。

これを説明するのは難しいが、簡単にいうと理論的には経済活動に参加している全員がWin-Winになることは可能なのだ。たとえばAさんが買い替えによっていらなくなった冷蔵庫とBさんが買い替えによって要らなくなったPCを交換することによって潜在的なゴミがふたつ消え、新たな二つの価値を生み出すということがある。この場合両者ともに勝者と言えるだろう。

もう少し違った角度からみてみよう。経済をもっとも端的にあらわす株式市場を考えてみる。株式市場をきちっと理解していない人は「誰かが儲かったら、誰かが損するんだろ」という。しかしそうではない。様々な企業が努力を重ね、イノベーションを繰り返すことによって今までになかった付加価値が生まれる。

もしある企業がそれまでまったくなかった新しい価値を提案したら、そこに新しいマーケットが生じ新たな価値が生まれる。結果、その企業の株価は上がる。そういうことを繰り返すことによって株式の時価総額は少しずつ上がっていく。株式の時価総額が上昇する限り、理論上はマーケット参加者の全員が勝者となることは可能だ。
それが経済活動なのだ。

逆の例を挙げればわかりやすいかも知れない。バブル崩壊でもブラックマンデーでもリーマンショックでもいい。株式が大暴落すると当然時価総額は激減する。多くの人が大きな損害を蒙る。つまり敗者となる。この場合、勝者はいるのだろうか。もちろん中にはカラ売りを掛けて大儲けをした人もいただろう。しかし全体からみれば「勝った」人は「負けた」人に比べると微々たるものでしかなかった。つまりほぼ全員負けてしまったのだ。

つまり、経済活動上では全員勝つこともあれば全員負けることもある。

競争の外に価値を見出そうとする考えがあってもいいとは思う。でも本当にそう思うなら「勝者がいるということは必ず敗者も生まれる」なんてアホみたいなことは言わないでもらいたい。それを聞いた瞬間鼻白んでしまい、真面目にその人の主張を聞こうとする気が失せてしまう。

 個人的には全員が勝者になる社会が理想だと思っている。もちろんそれは理想論であり、理屈上可能でも実際には不可能に近いというのもわかっている。そのためには全員が必死で努力しなければいけないかも知れないし、その礎となる教育や道徳形成も高度に徹底させなければいけない。

そんな窮屈な社会は嫌だという人もでてくるだろう。でもほんの数百年前までは、ほとんどの国民は家族総出で必死で働かなければ明日の食い扶持さえも補償されていなかったのだ。われわれは今これだけ豊かな生活を享受していながら「あくせくするのは好きじゃない」などと言うのは世迷いごとにしか聞こえない。

あくせくしなくとも食い扶持に困らないのは先人の築いたものに胡坐をかいている人か、ずば抜けた才能をもっている人しかありえない。そしてかなりの確率で断言するがキミにはずば抜けた才能はない。
だから自分のため、周囲の人のため、そして人類のため、キミは他の人とともに少しでも社会がよくなるように一生懸命生きていかなければいけないのだと思う。

 キミがいい人であることはむしろ誉められるべきことだ。しかしいい人であれ悪い人であれ、なんらかの主張をしようと思うのならそれなりの覚悟を持つべきだ。だからもしキミが知らないのならもう一度だけキミにいっておきたい

「経済はゼロサムゲームじゃないんだよ」

3 comments:

  1. 経済という概念上は非ゼロ和かもしれませんが、物質的にはゼロ和じゃないですか?

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  2. 資本主義社会の中で一応Win-Winな関係になれる一例を持ってきただけで、全員が勝者になれるというのはいかがなものか。というか、そもそも勝者の概念がずれている気がする。PCと冷蔵庫を交換した双方が共に貧乏だったら、彼らは勝者なの?また、ブラックマンデーで全員が敗者というのもおかしい。株価が大暴落したら、国民の全員が同じだけの損害を受けたとしよう。ただ、その結果、国民それぞれの身分や地位、現在の収入、総資産などはリセットされるのだろうか?相変わらず差は存在し続ける。勝者、敗者というのは相対的に決まるんだから、国民全体の生活水準や収入が低迷しても差がある限り、勝者、敗者は共に存在し続けると思うが。株式の理論上全員が勝てるシステムについては、それって資本主義社会があなたの言う理論上全員が勝者になれるシステムっていうのと大差ない主張に思うのですが、理論上の話で良いなら社会主義も共産主義も全員が勝ち組になれますよね。全く能力も考え方も違う人間が暮らしていく社会で、理論上じゃなく現実的にそれが実現する社会じゃないと、勝者、敗者が生まれる社会になってしまうと思いますが。あなたの理屈は、全員がボルト並みに足が速くなれば良いと言っているような主張に思えます。

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  3. 世の中の人間全員が俺みたいに出来る人間でなおかつ切磋琢磨しあえばwin-winになれますよっていう風にしか聞こえない。

    ブラックマンデーでボロ儲けした連中が今も世界の半分以上の富を握る1%で居続けているのはなぜでしょうね?

    あなたこそ資本主義の歴史についてもっと学んだ方が良い。利子という架空のお金を元本につけて融資する金融機関がいるかぎり経済格差は織り込み済みだと。

    >株式市場をきちっと理解していない人は「誰かが儲かったら、誰か>が損するんだろ」という。しかしそうではない。様々な企業が努力を>重ね、イノベーションを繰り返すことによって今までになかった付加>価値が生まれる。

    イノベーションした会社が利益を得て、イノベーション出来ない会社は赤字になって最悪経営破綻する。ただのゼロサムじゃん。

    ばかじゃねーの?

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